『歓声から遠く離れて 悲運のアスリートたち』中村 計 新潮文庫
新卒採用において、体育会系の人材は多くの会社で重宝される。先輩後輩といった人間関係に慣れていること。何かに打ち込んだことがある経験を有していること。何らかの目標達成といった成功体験や挫折体験を有していること。そんな理由から重宝される傾向にある。
◇努力できることは才能
努力とは、いつか訪れるだろう幸福を受け止めるための器づくり
いつか訪れるかも知れないし、訪れないかも知れない。そんな不合理さ、理不尽さを受け止めてか、知らずにか努力をすること。今どきでは無いし、一昔前の日本的だと言われるかも知れない。でも、そんな理不尽さの中に何らかの意味を見出すことができれば、その人の人生は非常に有意義になると思うし、そんな経験を若い時にすることは、人生を過ごす上で大きな糧になるんじゃないかと、最近思う様になってきた。
そんな努力をできると言うことは、馬鹿にされそうだけど、やはり一つの偉大な才能だと、歳を取るにつれ思う。
◇理不尽さの中に、意味を見出すこと
何かを受け入れる為には自分という容器の中を一度空っぽにする必要があった
容器を空っぽにするって簡単に言うけれど、結構理不尽なことが多いはずで、今までの成功体験を捨てることが求められる。そんな理不尽さを受け入れようとすれば、無心になって何かを信じないといけないし、信じるものが無いとそこまでは普通頑張れない。信じるものがコーチや監督といった指導者の場合もあるけど、何よりも自分自身を信じられるかどうかが、結局は最後まで努力できるか、踏ん張れるかといった点で必要な要素。
信じる為には、今までに信じていたものを一度忘れる必要がある。何かの連続性、延長線上に信じるものを見つけられる時もあるけど、非連続な先に見つかることの方が、最後の最後に拠り所になる。それが不合理や理不尽の中に見つかるものなんだ。
理不尽なことを敢えて経験しなくても良い。だけど、世の中には山ほど理不尽なことなんてある。そうだとすると、そんな理不尽さに出会った時に、その中に意味を見出せると良いんじゃないか。
◇成仏の仕方
一度栄光をつかんだ人間は、もう一度って思うもんなんだ。まだ自分にできるんじゃないかって。だから、それをやってしまわないことには、いつまでもそうやって思い続けることになるんだ。
どこまでやれば自分が納得できるか。引退の仕方、タイミングは難しい。人によって千差万別。ビジネスにおいてもプレイヤーがマネージャーになるにはこの切り替えが必要。マインドセットの切り替え。
成功体験という麻薬。アドレナリンが出る経験の魅力からどの様に距離を置いていくか。未練を残さず成仏をするか。
ゴーウィズフロー。自然の流れに乗りなさい
★★★☆☆
自分を諦めた時、成長は止まる。自分を信じて前に進みたい。