読読日記

経営、経済、金融を中心とした読書日記

『決断力』羽生善治 角川oneテーマ21

仕事をする上で、攻める思考の時と守る思考の時とがある。前者は案件を仕込みに行く時で、後者は撤退する時だ。いずれの時も関係者が誰で意思決定の仕組みがどの様になっているのか。どの様な時間軸で意思決定が為されるのかを慎重に考えて取り組んでいる。

 

◆攻める思考

意思決定において相手の関心事は何か。関心事が明確に言語化できているか。関心事が明確になっている場合、採点方法は加点方式なのか、減点方式なのかという点も事前に確認をしておきたい。採点方法を対外的に明確化しているケースは少ないものの、特に競合企業との差が付きにくい場合には、加点方式では差が開かないことが多いので、減点方式で不利にならない様な工夫が必要となる。

 

一方で、関心事、意思決定の軸を顧客側が明確化できていないケースも実は多い。顧客自身が自覚している場合もあるが、その自覚がないケースも結構あり、この辺りの見極めが重要だ。意思決定の軸が明確になっていない場合には、初期段階で、刷り込みを行っていく必要がある。こういったケースでは~とか、他社だと~とか。直接こちらが話題の中で言及することもあれば、意思決定に影響を及ぼす様な人にさり気なく刷り込むこともある。

 

◆守る思考

案件を辞退する、撤退することが稀にだがある。顧客や紹介者との関係性を維持しつつ、当該案件から如何に身をひくか。実はコンフリクトが発生した為、そのコンフリクトの内容を悟られない様に速やかに撤退しなければならないこともある。更に稀ではあるものの、社内コンプライアンス上、当該案件への関与ができなくなることもある。

 

いずれにしても、本当の理由を顧客に開示できないこともあり、案件獲得時以上に気を遣う。神経をすり減らす。

 

この守る発想は、攻める思考以上に難しく、意思決定におけるジャンプが求められることがある。正に決断力が求められる。この辺りは、経験を積む以外に方法は無いのだが、やはり人によって得手不得手があり、腹を括れるかどうかが問われる。胆力なるものが問われる。

 

守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる

 

守る思考の時、実は気持ちは前に出て行かないと良い決断ができない。色々な表現はあるが、後ろ向きであったり、逃げたりすると、悪い方向に物事が進む。ボク自身が心掛けているのは、困難に対して正面を向いて対峙しつつ、相手が前に出てきた時に、手で相手を払うイメージ。

 

ボク自身は、合気道や空手等、武術をする人ではないけど、いつも困難を前にした時にイメージするの、上記の様な絵だ。

 

★★☆☆☆

将棋や囲碁、武術から示唆を得ることが多い