『スピーチライター 言葉で世界を変える仕事』蔭山洋介
日本でも政治の世界にスピーチライターが進出してきている。
トップの言葉に関心が集まる。
言葉の力が注目を集める。
安部政権はまさにその典型と言える。
◆Buy my Abenomics
英語としてどうなのかはよく分からない。
正しいのか、ニュアンスとしておかしくないのか。外国人にはどの様に聞こえるのか。
無難な表現を聴き手にとって印象深くなるようサウンドバイトする。短く印象に残るフレーズ
アメリカでオバマ大統領が使ったのは、Change!という一言だった。
小泉元首相の言葉も、短く印象に残るフレーズだった。
「感動した」とか、「郵政改革なくして構造改革なし」とか、「自民党をぶっ壊す」とか。₍うろ覚えです、何となくこんな感じだったはず₎
平易な言葉。
韻を踏んでいる。
象徴的なものを取り上げる。
敢えて少し乱暴な表現を使う。
色々なテクニックが意図してか、先天的なものなのか、散りばめられていた。
安部首相は、小泉元首相を意識しているだろうし、メディア受け、大衆受けを意識した今どきの政治家なんだろう。
◆ストーリーを語るということ
スピーチや話が上手い人というのは確かにいる。
中には天性の語り部の様な人もいる。
リアリティとは当時体験したその瞬間に立ち上がってくる感覚や感情
ボクが知っている人で、まさに語り部の様な話の上手い人がいた。
物語に人を巻き込む。
その人が話をすると、情景が目の前に湧き上がってくる。
ある時は、自分が見ている景色。
別のある時は、空から鳥瞰している様な景色だったりする。
その時感じる感情や感覚はリアリティをもって、自身の体験として感じる。
時間を超え場所を越える。
本当に魔法の様だった。
◆魔法を真似する
天性の語り部だと思った人は、実は努力の人だった。
相当の準備をしていたし、長い年月を掛けて努力をしていた。
良質な文章を大量に読んでいた。
気になるフレーズや発言、言い回しはメモを取っていた。
新聞や雑誌の切り抜きもしていた。
学生時代は、役者志望だったと後から知った。
企業トップが挨拶やプレゼンをする時に、部下や事務局の原稿をそのまま読み上げていることがある。そんな人には、是非スピーチライターの活用を考えて欲しい。
★★☆☆☆
言葉で世界を変えることは、簡単なことではない。
でも、言葉を大切にしない人が世界を変えられるとも思わない。