読読日記

経営、経済、金融を中心とした読書日記

目の見えない人は世界をどう見ているのか

 ずばりタイトル通りの本。複数の目の見えない人との会話を通じて、目の見えない人は世界をどの様に感じているか、把握しているかを教えてくれる。視覚に頼らない分、聴覚であったり、他の機能を活用していたり、素直な驚きがあった。

 

だんだん見えなくなってくると、みんなが僕のことを大事に扱うようになって、よそよそしい感じになって、とてもショックでした

 

全くの他人で目の不自由な人に接する場合は、やはり気を遣うと思うけど、親しい関係性で必要以上に気を遣われるのは、どう考えてもショックだろうし、まして子供だと結構きついかも。でも、自分の身の回りで親しい人が同じような状態であったとしても、やはり必要以上に気を遣ってしまう気がする。頭で分かるというよりも、相手の気持ちを感じられるかとか、慣れているかといった要素が必要なんだろう。

 

子供は母親と自分の境界線があいまい

 

言われると凄く納得するけど、考えたことも無かった。精神的な繋がりは勿論大きいのだろうけど、実は概念的にも、少なくとも子供の側からすると繋がっているのかも知れない。視覚が徐々に発達してくるにつれて、境界線が見えてきて、あいまいだったものがはっきりと分かれていくのだろう。生まれるまでの1年間はヘソの緒で物理的につながっている訳で、そう考えれば生まれてから1年くらいは少なくとも境界線があいまいというのは、妙に納得感がある。

 

曖昧な連続状態から、目の力によって対象と自分を分断し、境界線をはっきりさせること、それが近代における大人になるということ

 

なんだそうだ。近代なのかどうかはよく分からないけど、生後1年くらいで目がしっかりと見えてくることを考えても、やはりそういうことなんだろう。

 

見えないこととは関係ないこともあるけど、へえ~と思ったのはこちら。

自立とは依存先を増やすこと

 

感覚的に、自立とは誰にも頼らずに独りでも生きていけることといったイメージをもっていたけど、寧ろ依存先を増やすことというのは、新しい視点。一本足ではなく、複数の足で立つ絵を想像すると、確かにその通りといった感じ。依存というから少し違和感が出るけど、頼るくらいの言葉だと違和感が少なくなるんじゃないだろうか。

 

★★☆☆☆

新鮮な視点に気づくことができた